rerport

2020.06.16

「トークセッション・シリーズ」レポート

2020年4月中旬、《まさゆめ》関連プログラムとして全3回の「トークセッション・シリーズ」を開催しました。このシリーズは2019年春から動き出した《まさゆめ》をあらためて様々な視点から探求することを目指し、「街と人」「見ること」「東京の風景」という3つのテーマのもと、異なる専門性をもったゲストと現代アートチーム 目 [mé] のメンバーが対談しました。

当初は2019年秋に渋谷PARCOにオープンしたスペース「ほぼ日曜日」での開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、急遽オンラインでのライブ配信となりました。緊急事態宣言発令下ということもあり、当初予定していたテーマのまま開催することに事務局内での葛藤もありましたが、こうした状況だからこそ文化芸術や表現にできることがあるのではないかと思い至り、また、出演者たちとのやり取りにも後押しされ実現しました。

《まさゆめ》とは何か、いま起きていることは何か。新型コロナウイルスが流行する状況のなかで、医学や政治だけではない観点から考えてみたい、という南川(目 [mé] ディレクター)の言葉からはじまった第1回は、「街と人のつながり」と題して、編集の視点から様々な地域のプロジェクトに関わる紫牟田伸子氏をゲストに迎えました。経験を通じて街に愛着を感じるようになること、街のありようは人々の主体性にゆだねられていること。そして《まさゆめ》が街に新しい物語を重ねることで、わたしたちが向き合う世界の見方を一変させるのではないかという可能性と期待が共有されました。

第2回は「『見る』ということ」をテーマに、美学を軸に横断的な研究をおこなう伊藤亜紗氏を迎えました。目の見えない方々の知覚のあり方を参照しながら、晴眼者は視点を持つからこそ風景といった巨大なものの細部は捉えられなくなるなど、哲学的な領域にも踏み込みます。《まさゆめ》で浮かぶ顔を見ることは、同時に、顔から見られるということでもあるのではないか。見る/見られるという反転可能な視点を獲得することであらわれる「わからなさ」に向き合う面白さが提示されました。他者の目でものを見ることについても、増井(目 [mé] インストーラー)がチームで作品制作を続けてきた実践と実感を通じて言葉にしました。

そして第3回は、都市から辺境まで旅する写真家の石川直樹氏とともに「東京の風景のこと」を見つめなおしました。突出した個性も人ごみに溶け込む無色透明な居心地のよさ、集団でいま生きていることを共有する瞬間的な都市、など、変化を続ける東京に対する様々な捉え方が提示されました。コロナ以降、目のパースが変化し風景の見え方が変わったという荒神(目 [mé] アーティスト)の発言に石川氏が共感をもつ場面もあり、各地を移動し、風景と切り離せない表現を展開するアーティストたちだからこその気づきや示唆に満ちた回となりました。

配信の様子(左から第1回、第2回、第3回)

《まさゆめ》は、荒神が中学生の時にみた夢を端緒としています。ある個人のささやかで私的な記憶が、多くのひとが共有できるものとして普遍性を獲得しようとするプロセスは、プロジェクトの重要な要素のひとつでもあります。今回、シリーズで3回にわたって言葉を重ねるなかで、わたしたちが向き合っている状況や世界そのものへの根源的な問いに触れる瞬間も多々あり、みなさまにとっても思考を巡らせる機会となったのではないでしょうか。

当日はTwitterのハッシュタグ「#まさゆめトーク」で質問・感想を募集。ご視聴くださった方から、出演者への問いや《まさゆめ》の浮上を心待ちにする言葉のほか、オンラインでの開催だったからこそ視聴することができたという声も寄せられました。「全人類にとっての事件にしたい」という目 [mé] の思いとともに、引き続き、より多くの方々にお届けできるよう《まさゆめ》を展開してまいります。

各回の詳細な内容はWEBサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」にて、採録としてまとめていただいています。臨場感あふれる生き生きとした記録を、ぜひご一読ください。
※2020年6月16日(火)より連載(全9回予定)

世界を見る「目」 アーティスト 目 [mé] の連続対談

大変な状況下にも関わらずご出演くださったゲストのみなさま、企画に協力いただいた株式会社 ほぼ日のみなさまはじめ、開催にあたりお力添えくださったすべての方々にあらためてお礼申し上げます。

今夏に予定していた「顔浮上」は延期となりましたが、東京の空に顔が浮かぶ風景を思い思いに想像し、どうか楽しみにお待ちください。

文:村田萌菜(まさゆめ事務局)

#01 紫牟田伸子 × 目 [mé] 街と人のつながりのこと
実施日 2020年4月11日(土)14:30〜16:00
場所 YouTube Live(ほぼ日公式チャンネル)
出演 紫牟田伸子(編集家/プロジェクトエディター/デザインプロデューサー)
荒神明香(目 [mé] アーティスト)
南川憲二(目 [mé] ディレクター)
司会 山下哲(株式会社 ほぼ日)
明石薫(まさゆめ事務局)
#02 伊藤亜紗 × 目 [mé] 「見る」ということ
実施日 2020年4月12日(日)14:30〜16:00
場所 YouTube Live(ほぼ日公式チャンネル)
出演 伊藤亜紗(美学者)
荒神明香(目 [mé] アーティスト)
南川憲二(目 [mé] ディレクター)
増井宏文(目 [mé] インストーラー)
司会 山下哲(株式会社 ほぼ日)
明石薫(まさゆめ事務局)
#03 石川直樹 × 目 [mé] 東京の風景のこと
実施日 2020年4月14日(火)19:30〜21:00
場所 YouTube Live(ほぼ日公式チャンネル)
出演 石川直樹(写真家)
荒神明香(目 [mé] アーティスト)
南川憲二(目 [mé] ディレクター)
司会 山下哲(株式会社 ほぼ日)
明石薫(まさゆめ事務局)
デザイン 五十嵐智行
主催 東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
企画 まさゆめ事務局
企画協力 株式会社 ほぼ日

メールニュース/SNS

“まさゆめ”の情報をお届けするメールニュースにぜひご登録ください。各プログラムの開催時期やレポートをお知らせしてまいります。
その他、InstagramやFacebookなどでも最新情報を発信しています。