report

2019.08.30

参加型公開ミーティング「顔会議」開催

2019年6月23日(日)にSHIBAURA HOUSEにて開催された参加型公開ミーティング「顔会議」の様子をお届けします。

《まさゆめ》では2019年3月26日(火)から6月30日(日)まで、「顔」候補の募集を行いました。世界中から集まった老若男女の顔、顔、顔…。ここからただ一人を選ぶための手がかりを、さまざまな人と意見やアイデアを交換することで探るべく、「顔会議」を開催いたしました。会議はYouTube、Facebook、Instagramでもライブ配信し、のべ3,400人が視聴。オンラインからもたくさんのコメントをいただきました。

[ 第一部 ]プレゼンテーション + クロストーク

ゲストとしてお招きした原島博氏(東京大学特任教授、日本顔学会役員)、宮脇周作氏(法廷画家)と、プロジェクトの企画者である目[mé]の荒神明香(目[mé]アーティスト)、南川憲二(目[mé]ディレクター)、増井宏文(目[mé]インストーラー)の3名を交えて、プレゼンテーションとクロストークを行いました。原島氏からは、顔写真やモナリザに表情をつける研究から発展した顔学や、顔の印象学をはじめとするご自身の活動について、宮脇氏からはスピード勝負の法廷画における観察力の重要性や、自画像への問いなどをお話いただきました。いわば顔の専門家ともいえるお二人のお話に、会場・オンラインともに “顔とは一体何だろう” という疑問がいっそう高まります。目[mé]は作品制作における関心事である “人間と景色との対峙” について触れながら、《まさゆめ》や「顔会議」のねらいを語りました。宇宙について知識はあれど実際の広さは誰一人知らないように、荒神いわく “知覚が邪魔で把握できない” 状況において、いかに自身の主体をこえて世界を認識できるか。この問いに対する応答のひとつとして、初見の新鮮な気づきをともなう、無数の鑑賞者の目や反応を通じて作品や状況を捉えることの可能性を論じました。

クロストークでは “顔とは何か” という本質的な問いに対し、原島氏が「顔は印象や関係によってみえ方の変わるものである」と指摘。南川の「先入観を持たずに顔をみる方法はあるのか」という疑問には、宮脇氏が「顔とは思わずに明暗のみで対象をみる」と答えるなど、知識や情報に左右されずに顔と向き合うことの難しさを再認識し、第一部を終えました。

写真 : 津島岳央

[ 第二部 ]ディスカッション

第二部では参加者をグループに分け、それぞれ浮かぶ顔の候補を検討してもらいました。参加者からの「荒神が夢の中でみた顔を、グループで話し合って決めるのは違うのではないか」という疑問に対し、荒神が「新鮮な感覚のもと“この顔!”と気づくような、参加者たちの感性を頼りに選びたい」と呼びかけたことを皮切りに、会場やオンラインからよせられた「表情は決まっているか」、「顔はみた目で選ぶのか」、「選ばれた方が浮上前に亡くなった場合どうするのか」、「実在する人物がいい理由とは」といった質問に、目[mé]が応答したりゲストが提案するやり取りを経て、グループワークがおこなわれました。

最終的に参加者が選んだ顔候補を具体的に提案するのではなく、感想やキーワードを一言ずつ述べていくながれが生まれ、「誰を選んでも正解はないような気がしてわからなくなってきた」といったコメントや、「さまざまな人が色々な表情・気持ちを投影できるような顔」、「なぜこの顔が浮かんでいるの?という謎を誘発する顔」がいいのではといった提案がなされました。実際に顔を応募した参加者が「自分の顔を浮かべたい」と主張する場面もあり、選ぶ側だけでなく応募者のモチベーションにまで意見はひろがりをもちました。

2020年に向けて

バックグラウンドも関心も異なる多様な立場の言葉や視点が交錯した結果、明確な結論にはまとまりませんでしたが、アーティストの思考の過程をひらくことにより、人びとに期待感だけでなく考え続ける問いを持ち帰ってもらう場となったようです。2020年の夏 東京の空に実在するただ一人の顔が浮かぶことは決まっているなか、私たちはその日をどのように迎え、浮かぶ顔に何をみるのでしょうか。自分や家族、知人の顔が浮かぶ可能性、浮かぶ日時を知らずに出くわす可能性、あるいは全く見逃す可能性もあります。実際に浮かぶまでの過程も含め、さまざまな人の記憶や体験と結びつくプログラムを展開しながらプロジェクトは続いていきます。

文: 村田萌菜(まさゆめ事務局)
英語翻訳: 河西香奈、河西明範 [Kana Kawanishi Art Office合同会社]
サムネイル写真: 津島岳央

「顔会議」参加者の声(アンケート、配信コメントより抜粋)

・「訳のわからなさ」からひとつの結論を選んでいく過程を垣間見ることができた。
・プロジェクトについて能動的に考えられてよかった。
・すごく難しいテーマだったと、参加して思いました。
・時間不足、もう少し深いところまでつっこみたかった。
・思った以上に訳がわからなかったが、思った以上に楽しかった。
・来場者全員で意見を出して話をする中で、自分の考えと近いものや遠いもの色々あり、考えさせられたのがとても面白かったです。


「顔会議」開催概要

実施日 2019年6月23日(日)
会場 SHIBAURA HOUSE 1F[リビング/LIVING]
(東京都港区芝浦3-15-4)
内容 [第一部]プレゼンテーション+クロストーク13:00〜15:00
[第二部]ディスカッション16:00〜19:00
登壇者 原島 博(東京大学特任教授、日本顔学会役員)
宮脇周作(法廷画家)
荒神明香(目 [mé] アーティスト)
南川憲二(目 [mé] ディレクター)
増井宏文(目 [mé] インストーラー)
司会 千原凌也(まさゆめ 事務局長)
主催 東京都、 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
企画 目 [mé](合同会社マウスプラストゥ)
協力 P3 art and environment

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